2012年6月29日金曜日

【ロンドンオリンピックの持続可能性Vol6 サウンドオブベネズエラ】



【ロンドンオリンピックの持続可能性Vol6 サウンドオブベネズエラ】

こんにちは、本日の担当はTomoです。

前回のブログでも紹介した「ロンドン2012フェスティバル」の一環であるイベントに今週も出掛けてきました。(前回の記事はこちら

Festival of The World と題された本イベントでは、各大陸の音楽、文学、ダンスを披露するなかで、次のようなテーマを掲げていました。

Can art change the world?
(アートで世界を変えることができるか?)

今週のメインイベントは、サウンドオブベネズエラ。

天才的な若手指揮者として注目されているグスターボ・ドゥダメルが率いるベネズウェラ・シモン・ボリバル交響楽団の活動に焦点を当てながらレポートしていきたいと思います。


まずは、この男。グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel 1981年1月26日生まれ)
数年前にあるブログで紹介されている動画は、衝撃の出会いでした。


今回のコンサートチケットは、9ヶ月前にすでに売り切れていたそうですが、五輪イベントのおかげで彼らのリハーサルを覗くことができました。

僕は初めてプロのオーケストラを生で聴きましたが、そこにいる人々の身体に響く演奏がそこにはありました。まさしく揺さぶられたライブ感を味わいました。

一時間弱の演奏でしたが、多くの観客が総立ちで大きく拍手を送っていました。

ここまでが半分です。



残りの半分はというと、ドゥダメルを含める彼らがどのように環境で育ってきたか、どのように音楽で世界を変えていこうかしているかは、ホール地下の展示で紹介されていました。

ベネズエラで行われている音楽教育システム「El Sistema」は、無料で子供たちに楽器を与え、基礎知識や演奏を教えることにより健全な成長をはからせることを目的に、1975年に始められたそうです。

ホール外の展示

ベネズエラには約130のユース・オーケストラ、約60の子供のオーケストラがあり、25万人の子供(その90%は貧困層)が音楽クラスやワークショップに参加しています。

犯罪が多発するベネズエラでは「音楽は社会を変える力となる」という信念のもと「ベネズエラ青少年・児童オーケストラ全国制度財団」というのが設立されており、その頂点がこのシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラです。

経済学者で音楽家だったホセ・アントニオ・アブラウ博士によって始められ、ドゥダメルもこの制度で学びました。スコットランドも、このシステムを積極的に採用しています。

いくつかのドキュメントを見ましたが、ゴミを漁っている少年グループに対してリコーダーを渡して指導しているのは、象徴的なシーンでした。(ドキュメントのリンク





スラム街で大きなコンサートを開いている映像


ハード面を整える事は、5年の時間と資金があれば間に合うのでしょうが、
人が育ち、それが形になるまでには30年以上をかけた投資、システム、人材育成、そして大きな希望が必要であることを物語っているように見えました。

ベネズエラの国の事業というと、独裁者チャベスがすぐに頭に浮かんできますが、イメージが、変わりました。どのようにこの南米の国のオーケストラが持続されていくか注目したいと思います。

そして、彼らの息の長い活動は、スポーツを通じた持続可能性を語る上でも重要な指標にもなると思います。


(会場では地元の子供オーケストラも演奏していた)

【ロンドンオリンピック持続可能性Vol6】了
【ロンドンオリンピックの持続可能性vol 5】

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